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2026.01.09

海外投資家に「理解される」英語開示へ ― Straker Japanが描く、次世代IRコミュニケーションの基盤 ―

SWIFTBRIDGE AI
海外投資家比率の上昇や英語開示要件の拡大を背景に、日本企業のIRには「英語で開示すること」ではなく、「正しく理解される英語で伝えること」が求められる時代が到来しています。本記事では、こうした変化の中で浮き彫りになるIR英文開示の課題を整理するとともに、Straker Japan が描く次世代IRコミュニケーションの考え方と、AIと人の協働によって実務を支える SwiftBridge AI の役割を解説します。

グローバル化が進む中で浮き彫りになる、「伝わる英語開示」の壁

いま、国内上場企業のIR(Investor Relations)は大きな転換期を迎えています。

東京証券取引所が英語開示要件を拡大し、海外投資家比率が高まるなか、企業は「英語で開示すること」そのものではなく、「投資家が読んで理解できる英語」を発信する責任を負うようになり、その対応に迫られています。

 

つまり、単に日本語を英語に“翻訳”するだけでは十分ではないということです。

 

海外投資家を対象とした国際調査では、20%の投資家が、日本企業が発信する財務情報について「理解しにくい」と回答、そしてその倍の40%が「難しい」と回答しています(2025年9月11日付 日本経済新聞 朝刊)。多くの海外投資家は、現在の英語開示について「単に翻訳されているだけ」「部分的な直訳にとどまっており、文脈が伝わらない」と受け止めており、その結果、企業が本来伝えたい戦略や背景が十分に伝わらないという問題が指摘されています。

 

開示スピードと英語表現の質を両立させ、それだけでなくコストや機密性の確保などを実現することは、多くの企業にとって実務上の大きな課題です。

 

こうした課題に正面から向き合っているのが、Straker(ストレイカー)です。

AIでビジネスの言語ソリューションをシンプルに」という理念のもと、翻訳会社という枠を超えた新しい仕組みづくりに取り組んでいます。

 

Straker(ストレイカー)〜
「テクノロジーで言語の壁をなくす」クラウド翻訳のパイオニア

Straker(ストレイカー)の歴史は、1999年、ニュージーランドで始まりました。
当時、人が中心だった言語サービスの分野にテクノロジーを持ち込み、2010年には、当時まだ一般的でなかった「クラウド翻訳」という新しい仕組みを世界に先駆けて導入。「スピード」と「効率化」によって、翻訳業界の常識を大きく変えてきました。

創業以来一貫しているのは、「人の専門知」と「テクノロジー」を組み合わせるという考え方です。 AIが注目される以前からこのアプローチを磨き続けてきたことが、現在のStrakerの基盤となっており、現在のAI領域で一般的になっている「Human in the Loop(人間が自動化システムの操作や意思決定に積極的に関与する考え方)」にも通じています。

Strakerにとって、翻訳はあくまで出発点です。
これまでStrakerは、100以上の言語で、テクノロジーと人の協働による翻訳・ローカライゼーションを提供し、100万件以上の案件を手がけてきました。

2018年にはオーストラリア証券取引所(ASX)に上場。これにより、海外投資家に情報を発信する立場としての当事者性と、そのコミュニケーションを支援する立場の両方を理解する企業として、独自の視点を確立してきました。

その中でStrakerが注力してきたのが、財務開示書類、統合報告書、決算説明資料、プレスリリースなど、企業価値を伝える専門性の高い領域です。財務分野の翻訳・ローカライゼーションでは、スピード、精度、守秘性のいずれも欠くことができませんが、Strakerはこれらの条件を満たす体制を構築してきました。

その結果、世界の主要金融機関をはじめ、7,000件を超える翻訳プロジェクトを通じて、財務・開示分野における確かな信頼を築いています。

現在、Strakerが目指しているのは、グローバル企業がより迅速にコミュニケーションを行い、コンプライアンスを守りながら競争力を高めるためのAI基盤を提供することです。翻訳にとどまらず、企業が実際のビジネス課題にAIで取り組むための「Small Language Models(小型言語モデル)」の構築に注力しています。また、ISO27001(情報セキュリティ認証)を取得し、IBMクラウドを基盤としたB2B特化型のセキュリティ体制を構築することで、機密性が求められる情報開示業務にも対応しています。

 

Straker(ストレイカー)が日本市場での挑戦を選んだ理由

金融・IR領域において信頼を積み重ねてきたStrakerにとって、日本市場への本格的な取り組みは、単なる地域展開ではありませんでした。

それは、自社が培ってきた強みを、最も厳しい条件下で実践する挑戦でもあったのです。

日本は、投資家向けコミュニケーションにおいて、正確性や一貫性、スピードといった点で、世界でも特に厳しい要件が課される市場です。開示情報の正確性や一貫性はもちろん、文書全体の構造や表現の整合性までを含めた品質が要求されます。

こうした前提のもとで行われる英語開示では、単なる翻訳では対応しきれません。短い開示スケジュールの中で、日本語特有の文脈や含意を整理し、海外投資家が理解しやすい形へと再構成すること、さらには専門用語や表現を文書全体で統一することなど、複数の要件を同時に満たす必要があります。

この再構築の難易度こそが、日本市場における英語開示の本質的な課題です。そして同時に、この条件は、AIと人が役割を分担しながら協働するモデルが最も力を発揮しやすい環境でもあります。

Strakerがこれまで金融・IR領域で積み重ねてきた実務経験と、AIと人の協働によるアプローチは、まさにこの日本市場において真価を発揮します。だからこそStrakerは、日本を単なる展開先ではなく、海外投資家向けコミュニケーションの新しい標準を生み出す舞台として位置づけているのです。

「日本企業は、慎重さと品質へのこだわりにおいて世界でも群を抜いています。だからこそ、私たちのような“人とAIが協働するモデル”が真価を発揮できる市場だと感じています」(グラント・ストレーカーCEO)

 

SwiftBridge AIという、ひとつの到達点

 

SWIFTBRIDGE AI

 

こうした課題認識と取り組みを、実務の現場で成立させるために生まれたのが「SwiftBridge AI」です。SwiftBridge AIは、財務・IR領域に特化して設計されたAI翻訳プラットフォームです。財務・IR領域特有の表現や日英翻訳におけるポイントを学習した特化型カスタムAIモデル「Tiri(ティリ)」と、ネイティブの翻訳者・レビュアーが連携する協働モデルを採用しています。

まず、各分野に特化した6つのAIエージェントが連携して処理を行います。品質向上やトーン&スタイルの調整、全体の整合性や表現の一貫性の検証、文書レイアウトへの対応までをAIが担い、スピードと一貫性を確保します。そして、人が最終的な判断と品質を担保することで、短い開示スケジュールの中でも、海外投資家にとって読みやすく、文脈の通った英語開示を実現しています。

この仕組みによって、日本語で作成したIR文書を起点に、日英同時開示という、困難を伴う運用をより効率的で容易なものにします。Strakerが金融・IR領域で積み重ねてきた実務経験、グローバル市場で培ってきた英語開示の再構築ノウハウ、そしてAIと人の協働という思想。

SwiftBridge AIは、これらすべての延長線上に位置づけられるプロダクトです。

目指しているのは、英語開示を「作業」から解放し、IR担当者が本来向き合うべき、海外投資家との対話により多くの時間を割ける環境をつくること。

SwiftBridge AIは、そのための現実的な選択肢を提示しています。

 

「訳すIR」から「伝えるIR」──対話するIRコミュニケーションの未来へ

Strakerが見据えているのは、英語開示を単なる業務として扱う世界ではありません。
「人の専門知」と「テクノロジー」を組み合わせたアプローチによって、言語や文脈の違いから生じてきた情報の非対称を解消し、日本企業と海外投資家が、同じ前提に立って対話できる環境をつくることです。

その実現に向けて、海外投資家向けコミュニケーションを支える基盤は、いま確実に整いつつあります。

次回は、Strakerが提供する財務・IR翻訳特化型カスタムAIモデル「Tiri(ティリ)」を詳しく掘り下げます。
金融・IR文書に特化した小規模言語モデルとして、汎用AIでは再現できない専門性や構造理解をどのように実現しているのか。SwiftBridge AIがIR英訳を「訳す」から「伝わる」へと進化させる、その技術的基盤を紹介します。